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zoom RSS マラメアの海賊・その10

<<   作成日時 : 2007/03/16 14:20   >>

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「だが、そう・・・いつかあの少年と、じっくり話をさせて貰いたい。すべてが終わった後で結構。そのときまでわたしと彼が、ともに生き延びていたら」
 すべてが終わった後・・・その不吉な響きに、ガレリは肌寒いものを感じた。ザカリアはああ云ったが、祈祷師の物言いに慣れる事など決してあるまい。
「術にかかるも同じだからな、貴様ら魔術師の末裔に約束はせんぞ。だが覚えてはおこう。その占い師二人に、直接話を訊く事は?」
「必要とあれば、彼らのほうから出向くだろう。「ラドローに戻る事叶わず」とは、もはや二人の意志に関わりなく、運命のまま動かされるという事だ。そのときのために名をお教えしておく。一人は盲目の過読みヨギ・ベラ、もう一人は聾唖の先読みヘスス。ラドローの数ある占い師の中でも、五本の指に入る力の持ち主だ。必ずあなたのお役に立つ」
「だといいがな。・・・二人とも「運命が結びつけられた」のに、死ぬのはいずれか一方かも知れないと考える根拠は?」

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「彼ら二人は体に流れる血でなく、同じ運命を分かち合う双子なのだ。ザカリア首長。互いを見出す事がなければ、その素質は生涯眠ったまま・・・ともにあってこそ並外れた能力を発揮でき、片方だけでは赤子より役に立たぬ。会ってみればおわかりになろう」
 祈祷師は前袷わせになった胴着の懐ろを探り、ビロードの布袋を取り出した。巾着の組紐を解いて、中のものを手のひらの上に落とす。石の触れ合う涼やかな音とともにわだかまったのは、大粒のエメラルドをあしらった女物の首飾りだ。吸い込まれるほど深い宝石の輝き、その中で煙か霧のように、刻々と形を変えながら揺らめく妖しい影。細工の見事さといい、思わず目を奪われ、魅入られずにいない美しさだった。
「頼まれていたものだ。瞳の色になるべく近いものをとは書いたが、このエメラルドが手もとに届いたときは・・・白状すると、正直あなたに嫉妬を禁じ得なかった。今回亡くなられた方も、美しいのは姿形ばかりでなかったようだが?」
 首飾りをザカリアの前へ差し出しながら、ライ・ハーンは意味ありげに微笑んだ。一体どこまで見透かしているのか、それとも思わせぶりで反応を窺っているだけか。ザカリアは彼にある祈祷も依頼し、返信にあった注文通り、ファサールでも最高の宝石細工師らに作らせた首飾りを、予めラドローへ送っておいた。今回祈祷師と会ったのは、アスールの件に加え、これを受け取るためでもあったのだ。

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