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zoom RSS マラメアの海賊・その11

<<   作成日時 : 2007/03/22 15:03   >>

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「余計な詮索はするなと云ったぞ。・・・ガレリ、代金を」
 ザカリアは首飾りに一瞥を向けただけだ。祈祷師は元通りしまってから手渡し、引き換えにガレリが、いい音のする小さな巾着を差し出した。手のひらで重みを量り、ライ・ハーンが口許をほころばせる。ウィンダミア首長の支払は常に即金だ。
「相変わらずかけるとなったら、金惜しみなさらぬ方だ。懐ろへ納める前にご注意申し上げよう。呪縛の石は瞳と同じ色でこそ効力を発するが、エメラルドとこの呪文の組み合わせがまずい。相性に問題があって、ちょっとした副作用が出る」
 身につけている間は男女を問わず子ができないうえ、すでに身ごもった女であれば流れてしまうと云う。「代金はお返ししたほうが?」
「これを首にかけていれば、悪意を持って近づく人間が呪縛できるんだろう?やるときはどうせ裸だ、外せばいいだけなら問題にならん」
 布袋を手の内で弄びながら、ザカリアはふっと唇を歪めた。
「さよう、悪霊であっても。だが人間と違って、呪縛した後の始末に困るな。あの少年がいれば別だが。・・・あなたのように刺青を彫ったほうがよほど確実だ。肌に刻み付けた呪文が狙う相手をわからなくさせ、つけ外しの手間も要らぬ」

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 ザカリアの左上腕部にあるイバラの刺青は、首長となるべく帰国する際、ライ・ハーンの手で入れられたものだ。彼にはそのまま祈祷師をお抱えにする気などなく、それゆえ悪霊除けの手立てが必要だった。
「あの美しい肌に、わざわざ傷をつけろと?・・・確かに効果はある。二度とも悪霊は、代わりに護衛官を喰らってしまったがな」
 首長となってからもザカリアは、暗殺や毒、事故を装うなどあらゆる方法で命を狙われた。悪霊も然り、最初はライ・ハーンがラドローへ戻ってすぐの事だ。
「仕方あるまい。それが護衛官の役目であり、狙った獲物が見つからぬとあらば、悪霊は怒り狂って歯止めが利かなくなる。代わりの犠牲なしでは済まないのだ。・・・ところでもしお望みなら、わたしには不妊治療の祈祷もできるが?」
 ザカリアはそれを聞くや、一瞬まじまじと祈祷師の顔を見やった。「いつ云い出すかと思っていれば!」額に手をあて、背もたれへひっくり返って大笑いする。
「好色家にも関わらずウィンダミアの総首長が、未だ一人の子も儲けられぬとは、知らぬ者のない事実だからな。問題は俺のタネかどうかじゃない。欲しかったら誰の子だろうが産んでいいと、これを贈る女には云ってある。まあ、身ごもればいずれ知れる事だ。首飾りを外すほうが、言葉で告げるより容易いだろう。代金は納めていいぞ」

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