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zoom RSS マラメアの海賊・その9

<<   作成日時 : 2007/03/11 15:20   >>

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 ファド族は点在するオアシスを拠点に、ウィンダミアの三分の一弱を占めるゴドー砂漠を遊牧して暮らす民だ。独立を求めてしばしば歴代の総首長に楯突き、周辺部族の村々を神出鬼没に略奪して回り、族長など代々、勝手にゴドー砂漠の太守を名乗ってきた。砂漠へ入ればファド族が、出れば総首長の軍が勝利を治める繰り返しで、決着のつかぬまま現在に至っている。それゆえ周辺諸国からは「まつろわぬ22番目の部族」と呼ばれ、ウィンダミアの他部族から数に入れられた事もなかった。彼らは彼らで、ザカリアの主権に服すると誓った後も、使者の一人さえ王都へ送ってよこさない。アーガランドで不穏な事態が起こっては、だから何かと困るのだった。
「大臣の一人エストランジュ卿が、王の暗殺を目論んで処刑されたそうだな。あの国はもともと地方豪族の力が強く、大臣は宮廷との間を取り持つ立場にいた。処刑は陰謀だと、豪族どもが一斉に蜂起したらしいが」
「さよう。だがエストランジュ卿に、ラドローの占い師二人が仕えていた事はご存知あるまい。彼らもまた共謀のかどで投獄されたが、ある者の手引きで逃れ、戦乱の渦巻くアーガランドから無事脱出した。今は隣国のヘザヴィにいる」

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「ヘザヴィのどこに?」と、ザカリア。どうも嫌そうな顔だ。
「ラルガ市。確かあなたのご友人が、州長官をしておられるな?そこである鳥使いのもとに身を潜めている。先日彼の使う鳩が、わたしのもとへ知らせをよこした。・・・大臣の処刑は陰謀。占い師二人によれば、内乱はアーガランド一国に留まらぬとのこと。『赤い蠍』に気をつけよ。悪霊を使役しながら、呪術師とは云い難き者。二人の運命はその者に結びつけられた。ラドローへ戻る事叶わず」
「悪霊を使いながら、呪術師とは云い難き者?」
 いかにも胡散臭そうに、厳しい皺を眉間へ刻む。鳥使いの知らせてよこした内容すべてが、ザカリアには気に入らなかった。
「残念ながらわたしにも、その意味はわかりかねる。だがラドローで「運命が結び付けられた」と云えば、それは占い師のいずれか、もしくは二人ともが、『赤い蠍』と関わったために死ぬという事だ。ザカリア首長。このような漠然とした情報で申し訳ないが、あなたのご友人にもお知らせしたほうがよいだろう。むろんあなたも、心に留めておいて頂きたい」
「ふん。貴様ら祈祷師だの占い師だのの言辞は、いずれどうとでも取れる類のものだろうが。・・・内乱はアーガランド一国に留まらぬ、か。それで見返りは?おまえが詫びなどとは片腹痛い。何か欲しいものがあるだろう」
「いいや、何も」答えながら祈祷師は、ゾクリとする光を目に漂わせた。

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