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zoom RSS マラメアの海賊・その48

<<   作成日時 : 2007/11/01 22:57   >>

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 その最期をただ呆然と、波間に漂う船員や海賊が見送っていた。帆の引きちぎれたフォアマストが傾ぎ、ボロボロの船首部分が高く持ち上がったかと思うと、のたうつように海中へ没していく様を。苦しげに咳き込んでいたアスールも、一瞬他のすべてを忘れ、魅入られたように見守る。女海賊が一人冷静に、近くで漂っていた船体の破片を引き寄せ、意識のないキア・リダの上半身を乗せた。
「そこにいたか、アスール」
 ザカリアの声に振り向くと、彼らより船の近くで浮かび上がったのだろう。20メートルほど離れた水面から、ゆっくりと抜き手を切って泳いでくる。
「小父・・・船長も無事でよかった、怪我の具合は?」
 尋ねる少年の頭をゴツッと殴り、破片に乗せられたキアを一瞥すると、ザカリアは赤毛の女へ胡散臭げな視線を向けた。濡れて貼りついた前髪の間から、不敵に輝く目が見つめ返す。アスールは瞬きもせず、そのきりりとした横顔を凝視した。
「うちの船員を助けてくれた礼は、とりあえず云っておく。・・・まさか女が混じっていたとはな。おまえも海賊か?」
「単なる気紛れだ、礼など要らない。わたしの名はベリル・ヴァザラック、あんたが殺した赤鬼の娘だよ。ザカリア首長」
 驚いて声もない二人をよそに、女海賊はニッと唇を歪めた。

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