テーマ:愛だけが聞こえる

人物ファイル・その1~アブドゥラ皇太子

この人から始めるのか、チャレンジャーだな。(笑) 何しろ権力者、皇太子になる前の、何人もいる王子の一人に過ぎなかった頃からそうだし、もっと云えば生まれたときから、その体には青い血が流れている。 要するにとてつもなくこっわぁーい人なのだ。えへっ♪\(^o^)/ あ、呼称に気をつけないと。このお話の当時はまだ「アブドゥラ王子」だ。…
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ネタバレなんか怖くない

というより、この際構ってられないだけ。素っ裸でドーンと玉砕するしかない。(^^ゞ てなわけでサクサクと、下準備のノート作りを始めまぁ~す♪ あー寒い、おまけに夜中はいつも、軽い低血糖症を起こす。。。 二重にフルフルしてますよ。ケケッ。 まずはシーンの取捨選択、順番は後から考えるので思いつくままに。 ・アルフレッドとセシ…
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愛だけが聞こえる(39)

 世間の噂などに縁のない公爵令嬢と違い、わたしは近所のおかみさんたちが家の戸口で、或いは仕事から帰った男連中が、通りへ出した椅子にかけて茶を飲みながら・・・あの家の女房はとうとう、亭主の留守中に間男を連れ込んだことがバレて大騒ぎになったの、年老いた父親の薬代がままならなくなって、可哀想にあそこの娘はごうつくな商人の囲い者になっただのと喋…
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愛だけが聞こえる(38)

  「その話ならすでに説明した筈だ、聞いていなかったのかね?」  途端に苛立ちを声に滲ませ、公爵が素っ気なく答えた。聞く者の胸に居たたまれない思いと困惑を掻き立てずにいない、あのせかせかした叱責するような口調だ。それが令嬢に対しても向けられたことにびっくりし、思わず面を上げて表情を窺うと、やはり例の不機嫌そうな皺が眉間に寄っている。…
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愛だけが聞こえる(37)

  「ありがとうございます、お嬢さま」母も涙声で云った。 「お嬢さまはこの子に、一番必要なものを与えて下さいました。父親を亡くして以来、息子が泣いたのはこれが初めてなんです。夫から出がけにいつも、留守中は母さんを頼むと云われていて・・・アルフレッドはその約束を、大切に守ってきたものですから・・・。この子が聞いた最後の言葉でもあります…
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愛だけが聞こえる(36)

  「アルフレッド・・・アルフレッド?」  女の子のうろたえた、つられて泣き出す寸前の声が聞こえる。父がそこにいると信じて語りかけたときから、その目には涙が・・・産毛みたいな下睫毛のあたりに引っかかって、真珠のような涙の粒がぶら下がっていた。最後までちゃんとお別れを云うために、彼女は込み上げてくるものを、ときおり唇を噛み、何度も息を…
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愛だけが聞こえる(35)

   奇跡が起こらなかったからではない。彼女の青い瞳を覗き込んで、そこに自分の姿が、水面へ落ちた影のように映っているのを見たとき、父の笑顔が傍らにあったからだ。その大きな手が置かれる重みを、勇気づけるように握る指の力強さを左の肩に感じた。たとえそれが、わたしの裡にセシリアが見ていた面影の幻像や、何度となく同じように肩へ置かれた手の記憶…
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愛だけが聞こえる(34)

  「大切なお父さんを、あなたの息子から奪ってしまって・・・ひっく、ごめんなさい。わたし、ずっと謝りたかった。わたしの代わりにアルフレッドが、お父さんのいない淋しさを・・・が、我慢しなきゃいけないなんて、あんまりだもの。隊長だってきっと、小母さまやアルフレッドを悲しませたくなかったでしょう?だから今度は、わたしにお二人を守らせて。隊長…
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愛だけが聞こえる(33)

「どうか・・・そんなふうに泣かないで、小母さま。わたしただ、ヒューバート隊長に最後のお別れを云いたかったの。人は亡くなったら、魂だけになるんでしょう?お葬式に参列できなくなったときね、隊長ならどこにいたいかしらって考えたの。きっと小母さまやアルフレッドの側よ。だからお願いしてもいい?お二人にも聞いて欲しいって・・・」  公爵令嬢の…
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愛だけが聞こえる(32)

 ヒューバート隊長もこんなふうに苦しかったかしら、やっぱり堪らなく怖かった?・・・発作が何とか治まった後、天蓋の落とす影の中に消耗しきって横たわり、セシリアは人知れず涙をこぼした。枕もとには父親が寝もやらず付き添っていたが、きつく握り合わせた拳へ額を押し当て、瞼を閉じたきり身じろぎ一つしない。ただ疲労の色濃い背中や乱れて落ちかかる半白の…
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愛だけが聞こえる(31)

 喘息という病気の原因ははっきりしないが、患者の喉は個人差こそあれ、常に炎症を起こした状態にあると考えられている。そのため気候や過度の運動、疲労、動物の毛、心理的な要因など、健康な者ならば何という事はない刺激であっても過敏反応を起こしてしまう。これが発作で、軽いものなら自然に落ち着く。しかし大きな発作の場合は・・・気道が塞がったことで呼…
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愛だけが聞こえる(30)

 初めて見る父親の打ちひしがれた姿にどう声をかけていいかわからず、セシリアが小さな胸を痛めていると、背後から控えめなノックの音が聞こえた。現れたのは数人の小間使いで、それぞれ湯気の立つ陶器のポット、洗顔用のボウル、清潔なリネン類や着替えを手にしている。公爵は疲れた顔を上げ、令嬢の姿を認めて一瞬ハッとした女たちに、静かだが少しも動揺を感じ…
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愛だけが聞こえる(29)

 天蓋つきのベットに座ったゾーイ公爵は、シャツの襟元を緩め、ベストのボタンも外した格好でがっくり肩を落としていた。いかに肝の据わった公爵といえ、わたしの父と五人の刺客の命を奪った凄絶な斬り合いの真っ只中に身を置き、その凶刃が幾度となく目の前まで迫る経験をしたのだ。おそらく身も心も、クタクタに疲れ果てていたに違いない。いきなり「お父さま!…
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愛だけが聞こえる(28)

 後にセシリアの口から詳しい話を聞いたのだが、彼女は襲撃があった夜のうちに事実を知ったと云う。おそらく真夜中の少し前か、いくぶん過ぎた頃のことだ。中庭に面した二階の寝室でぐっすり眠っていたセシリアは、館中の人間が起き出して動き回る気配・・・パタパタと慌しく通り過ぎる足音や、ひそひそ囁き交わす低い声、それらの物音にこもる張り詰めた、ただな…
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愛だけが聞こえる(27)

 いかに多忙だったといえ、本来なら父親である自分が気づくべき事なのに。娘の言葉を補足するゾーイ公爵の声には、そうした苦い思いが滲んでいた。フーッと洩らす鼻息も荒く、二度三度と首を振る。 「それで発作を起こした直後だと云うのに、わたしが到着したときは清々しい顔をしていたのだな?こっちはどんなに苦しかろう、父親が側におらず心細く思っていよ…
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愛だけが聞こえる(26)

 父はそれから、自分の妻も病弱だが、どんなに顔色が悪くて辛そうなときも、その苦しみを訴えた事がないと話したそうだ。軍人などという危険な仕事に就いたせいで、心配ばかりかけているのは自分のほうなのにと。女の子はちょっと疲れたように、一息ついてから続けた。 「何だか少し哀しそうに・・・ううん、淋しそうに見えたわ。わたしね、隊長が云った事は全…
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愛だけが聞こえる(25)

 令嬢がふいに喉を詰まらせ、震えながら俯くのを見て、母はひどくうろたえた。一介の護衛隊長に過ぎない夫の名を知っている事も意外なら、なぜ自分たちに会いたがるのかも見当がつかなかったからだ。指先にそっと力を込めて握り返し、心配げな顔でおずおずと、女の子の伏せた瞳を覗き込む。わたしも驚きの目で、涙に潤む青い瞳とうっすら濡れた睫毛とを見つめた。…
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愛だけが聞こえる(24)

 セシリアの澄んだ眼差しが人を惹きつけもすれば、戸惑わせもするのは、それがまっすぐ魂の在り処を貫いて過たないからだ。見つめられた者はときに痛みすら伴う、目も眩む鮮やかな驚きを覚える。彼女の飾らない微笑みにはそして、誤解されたり悪く思われたりする事を恐れなくていいと、無条件で信じさせる不思議な力があった。身分の隔たりというものに人生で何度…
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愛だけが聞こえる(23)

 扉の隙間から顔を覗かせ、傍らを通り抜けて母に駆け寄った女の子はだから・・・無防備なわたしの心に、まっさらな存在として飛び込んで来たのだ。今も思い出すたび、改めてセシリアを間近に見た瞬間、胸を満たした驚きと喜びが、そのままの純粋さで息づくのを感じる。彼女の髪は薄暗い室内にあってなお、仄かな輝きを放つように見えた。葡萄の房のような巻き毛と…
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愛だけが聞こえる(22)

「ほら、こんなに冷たい・・・」  その息を呑むような囁きと、肩を落とした小さな背中に何を見たのだろう。不躾を叱りかけて思い止まり、公爵は唇を固く引き結んだ。わたしたちは対面を待つ間、書斎の扉から横顔の見える位置に置かれた、繻子張りの長椅子に腰かけていたが、令嬢は立ったままじゃお辛いでしょうと女の子らしい労わりの言葉をかけ、母にそこへ座…
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愛だけが聞こえる(21)

「残された息子の養育を申し出たのも、留守がちで淋しい思いをさせている一人娘の、よい話し相手になってくれればと思えばこそ。そなたからは唯一の慰めとなる筈の、愛しい我が子を取り上げるも同然なのだ。生活の援助くらいで、到底埋め合わせのつくものではあるまい」  公爵はだが、わたしの挨拶を聞いていたときから、苛立ちを隠し切れない様子で、眉間にき…
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愛だけが聞こえる(20)

 わたしもまた、父を誇りに思うべきだったろうか。口惜しげに唇を噛み、自分にできるせめてもの償いであり義務だからと、涙さえ流して辛い報告を終えたその護衛隊士のように。彼らは入れ替わり立ち代り、弔問や付き添いのために顔を出しただけでなく、葬儀では棺の担ぎ手となり、その上へ土をかけるときも全員が交代で行った。公爵家から遣わされた召使いの女たち…
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愛だけが聞こえる(19)

 父の亡骸は丁寧に拭き清められ、軍人の礼装に包まれて、わたしたちの待つ家へ戻って来た。暗殺者の凶刃から身を挺して公爵を庇ったため、遺体には浅いものも含め無数の惨たらしい傷があったと云うが、それは仕度をしてくれた召使いたちの手で注意深く、また敬意をもって隠され、ただ胸の前で組み合わされた手の袖口から覗く、ざっくりと抉られた傷痕だけが、襲撃…
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愛だけが聞こえる(18)

「そなたがヒューバート・ブライアンの息子か」  それが書斎の隣りにある一室で対面したとき、ゾーイ公爵が口にした最初の言葉だった。その一言にこもる苦く熱い相克の響きと、密度さえ感じられそうな、不安を誘わずにいない沈黙。じっと注がれる視線を痛いほど全身に感じて、わたしはためらいながらも、お辞儀のために落としていた目を、疵もなければ汚れ一つ…
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愛だけが聞こえる(17)

「いいわね、アルフレッド。公爵さまにお会いしたら、きちんとご挨拶する事はもちろん、必ず「ご厚情に感謝しています」と申し上げるのよ。一人息子のあなたを館に引き取って、立派な教育を受けさせようと申し出て下さったのも、父さんが公爵さまをお守りするために命を落としたからだけど・・・それは護衛隊長として当然の務めであって、本来公爵さまがわたしたち…
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愛だけが聞こえる(16)

「いいわね、アルフレッド。公爵さまにお会いしたら、きちんとご挨拶する事はもちろん、必ず「ご厚情に感謝しています」と申し上げるのよ。一人息子のあなたを館に引き取って、立派な教育を受けさせようと申し出て下さったのも、父さんが公爵さまをお守りするために命を落としたからだけど・・・それは護衛隊長として当然の務めであって、本来公爵さまがわたしたち…
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愛だけが聞こえる(15)

 仲良く手をつないだまま歩き出し、館へ戻って彼女の焼いたパイを食べたのを、つい昨日の事のように思い出す。生地は少し固かったが、中身には充分火が通っていて美味しかった。セシリアはそして、自らの誓い通り小鳥のブローチを大切にし、生涯手もとから放さなかった。どこへ行くのでもそれを身につけ、なぜ公爵令嬢ともあろう方ががあんな、捨てたほうがいいよ…
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愛だけが聞こえる(14)

 なりたかった焼き物職人の才能は欠けらもないのに(剣だこのせいでよけい不利になったのは確かだが)、軍人にだけはなりたくないと思っていたわたしが、剣の才能に恵まれていたのだから皮肉な話だ。それでもいざというとき、セシリアを守るだけの力がないよりはましだった。辣腕の政治家で妥協を潔しとせず、歯に衣着せぬ鋭い舌鋒を武器としたゾーイ公爵は、少な…
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愛だけが聞こえる(13)

 セシリアはだから、わたしの想いを抱きしめていたのだ。説明しなければ思い出しようがないかなと、我ながら苦笑するしかなかった作品の中に、一目で永遠の欠けらを見つけてくれた。わたしは愛しさで胸が詰まりそうになり、身を屈めてそっと彼女に口づけた。どんな疚しい気持ちも抱きたくなかったので、髪の毛にさえ触れようとせず、ただ雪に照り映える朝の光を脳…
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愛だけが聞こえる(12)

「銀板の素地にカットした銀線で輪郭を作り、釉薬を塗って焼く技法なんだ。でも銀線の貼り付けがひどいもんだから、輪郭は歪んでしまってるし・・・釉薬の盛り方も均一じゃないだろ?ブローチの金具は金細工職人から仕入れたものだよ。本職が作った土台の上に載せると、僕の作品がどんなに未熟か際立ってしまうけど。二年も修業させて貰いながらこんな出来のものし…
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